旬の味わい、かきを食べる

旬の味わい、かきを食べる




 これから寒くなると旬を迎えるのが、かき。生でも、焼いても、フライにしても、鍋や炊き込みご飯にしてもおいしい。しかも“海のミルク”と言われるように栄養価も満点。そんなかき料理が味わえる、創業90年の老舗から最近はやりのかき小屋まで紹介しよう。

「広島出張」のかき料理専門店 福知山市「かき末」



【写真】重厚で落ち着いたたたずまいを見せる建物が、創業90年の歴史を感じさせる

 日本のかき養殖の歴史は室町時代までさかのぼる。天文年間(1532年~1555年)に安芸国(現在の広島県)で始まったという。江戸時代中期には、そのかきを舟で大阪の市場まで運ぶようになった。そして明治の頃になると、その舟を川岸に係留しかき料理を食べさせる「かき舟」が登場する。最盛期には大阪の道頓堀をはじめ川沿いで200隻近くが営業していたというから驚きだ。


【写真】かき舟

 この本場のかき料理を今から90年前の大正15年(1926年)、福知山に初めて紹介したのが「かき末」である。広島出身の創業者・高下末松はかき舟の係留先を探していたが見つからず、陸軍歩兵第20連隊にいた知人のすすめで福知山に店を出した。店舗は、本物のかき舟の上屋を移築。「広島出張」を掲げ、かきはもちろん従業員もみんな広島から連れてきた。


【写真】かき舟の上屋を移した風情ある建物。中に小部屋がいくつもある

 当時、福知山ではかきはなじみがなく、なかなか客が入らなかった。しかし、徐々に「おいしい」と評判が広がっていった。そして、2代・高下輝雄、3代・晋之介と代を重ね、現在は4代・健太郎が調理場に立つ。


【写真】かき末伝統の「定食」。ほかに殻付生かきのレモン添え(写真左、12月まで)・塩焼き、貝むしなど一品料理もある

 旬の味をと、営業は10月中旬から3月末日までに限定。新鮮なかきを毎日広島から直送している。献立はかきのコース料理が基本で2人から利用できる。土手鍋、酢の物、かきフライ、かき飯といったなじみのメニューが一度に味わえる「定食」が4500円。これに刺し身が付いた「上定食」が5500円。とくに“一子相伝”のみそを使った土手鍋、ワサビを添え、だし汁をかけていただくかき飯は伝統の味わいに満ちている。


【写真】かき末4代目・高下健太郎さんと女将の貴子さん

 「広島のかきは、身がしまっていて味が濃厚。これから寒くなると旬を迎え、ますますおいしくなります」と健太郎さん。今では福知山を代表する冬の名物である。


住 所/福知山市西中ノ町216
電 話/0773-22-3532(代)
営 業/10月中旬~3月末日
    11:00~22:00
    ※土・日曜、祝日など予約がおすすめ
休 み/水曜日
駐車場/25台


ほかにもあるよ、かきが食べられる所

 

昨年、かき小屋もオープン
久美浜町内のホテル・旅館・民宿




 一年中波穏やかでプランクトンが豊富な日本海の内海、京丹後市久美浜町の久美浜湾では1937年からかきの養殖が行われてきた。久美浜湾のかきは身の締まりと大きさが特徴で、火を通してもほとんど身が縮まない。小天橋を中心に漁業者が営む民宿なども多く、冬にはカニとかきがぜいたくに味わえる。

 また、同町蒲井の風蘭の館に昨年、久美浜で初めてのかき小屋「牡蠣(かき)御殿」がオープン。60分2500円(税別)で新鮮な蒸しがきが食べ放題で味わえる。

 「牡蠣御殿」の営業は12月上旬~5月末(予定)の11:00~14:00(ラストオーダー)。予約は受け付けていない。問い合わせは風蘭の館TEL0772-83-1033。また、久美浜全般の宿や食事については久美浜町観光総合案内所TEL0772-82-1781まで。


舞鶴かき小屋 美味星
期間12月2日~3月下旬まで



 ミネラル豊富な山水が注ぐ舞鶴湾は、天然真がきの宝庫。地元漁師が運営する「美味星」は、その日取って来た新鮮な真がきを提供する。大振りでふっくらした身、濃厚な味わいは天然ものならでは。蒸し焼き用の鉄板を囲んで座り、ハフハフいいながらお腹いっぱい食べられる。かきフライやかきのおにぎりも人気。1人1600円~(10個程度)。

 営業は土・日曜、祝日。1回70分の入れ替え制になっているので、必ず事前予約を。11:00、12:30、14:00、15:30(日祝のみ)、17:00(土曜のみ)、18:30(土曜のみ)の回がある。 080-6166-1158、舞鶴市下安久無番地 京都府漁協舞鶴支所隣

セントラーレ・ホテル京丹後 かき・カニ小屋
期間4月22日まで



 高台にあるおしゃれなホテルの別館、格子戸を開いて中に入れば、そこは別世界。まるで浜の屋台のような気取らない雰囲気のなか、産地直送の活けがきや近海のカニを目の前の炭火で焼いて食べる。名物は、半斗缶で豪快に蒸し焼きする「カキのがんがん焼」(2480円)。軍手で殻を外し、プリプリの身をスープごと堪能する。単品、鍋やコース、食べ放題などメニューは豊富。天然温泉につかったり、一泊できるプランも用意している。
 かき・カニ小屋の営業は11:00~14:30、17:00~22:00、TEL0772-68-1122。要予約。京丹後市大宮町三坂