もうひとつの「お茶の京都」

もうひとつの「お茶の京都



名産地府北部で楽しむ 日本の心
 京都府は今年、日本茶のふるさとの魅力を発信するプロジェクト「お茶の京都」に力を入れている。京都のお茶といえば、宇治市をはじめとする南部が脚光を浴びがちだが、北部も全国に誇る堂々のお茶所。品評会で日本一に輝く産地や府内最大の茶畑、そして地元のお茶を楽しめる店がある。そんな北部のお茶の魅力をさぐってみよう(両丹日日新聞社メディア情報部)。


 宇治茶というと、どうしても南部に目が向いてしまうが、日本茶インストラクターの赤井貴恵さん(福知山市)は「北部だって重要な拠点産地です」と力説する。
 綾部、福知山、舞鶴3市で栽培されている「両丹茶」は、ほとんどが玉露と、抹茶の原料となる碾茶。赤井さんは「全国には気候や広い農地に恵まれた大きな産地がいくつもあります。一方、両丹地域は、日照時間など厳しい気候条件の中でも、あえて上質なお茶に特化してきた」と説明する。「日常飲むお茶ではなく、お茶席で使うお茶の産地なんですよ」とも。
 ほとんど全量が宇治に出荷されて宇治茶として市場に出回るため、全国的な知名度はやや低いものの、「お茶業界では両丹茶はトップクラスの評価を受けています」と太鼓判を押す。
 例えば舞鶴市。由良川筋を中心に昔から盛んに茶生産が行われてきた。市農林課によると「江戸時代末期には海外に輸出されていた」という。

5年連続で日本一の産地 舞鶴

 由良川沿いの肥沃な農地で、丁寧に手間ひまかけて栽培するため、薄く透き通るような美しい茶葉が育つ。品質は申し分なく、全国茶品評会「かぶせ茶の部」で5年連続産地賞第1位を受賞。今年9月の品評会で全国6連覇の期待がかかっている。

茶園の写真はいずれも舞鶴市提供
 「かぶせ茶」とは、収穫前に遮光幕で茶の木を覆って栽培したもの。玉露の主な産地では、藁やこもを使って遮光するのに対し、両丹地域は遮光幕のみを使用していることなどの理由から、玉露として栽培しているものの、品評会では「かぶせ茶の部」となる。


貴重な福知山の茶が手に入る店

 多くが宇治へ出荷され、地元にはほとんど出回らない両丹茶。貴重な地元産が手に入るお店が、福知山市にある。
 内記6丁目、市役所近くの山城屋茶舗では、地元産の玉露「ふくちやま茶」が人気を得ている。

 四代目の豊島建治さんは「福知山の玉露は深みのある味。それでいて飲みやすいお茶です」と話す。100㌘2000円(税別、以下同)。「福知山はこんな地域です」と手土産にしたり、進物に重宝されている。
 ほかにも自家ブレンドの特上煎茶「福知山のみどり」(200㌘1600円)、自家焙煎の「赤鬼ほうじ茶」(200㌘1000円)、日本茶に合う羊羹各種などもそろえている。


(営)9:00~19:00
(休)不定
TEL 0773-22-3005

ひとしずくまで  
愛しい綾部の玉露  

 綾部市青野町、あやべグンゼスクエア内あやべ特産館には、綾部産のお茶を提供する「綾茶カフェ」がある。営む両丹いきいきファームの中田義孝さんは「お客さんから『コーヒーは置いてないのか』と、よくお叱りをうけますが」と笑いながらも、自家製の日本茶にこだわったカフェという姿勢を貫く。

老舗、有名店が名を連ねる宇治茶カフェの認定盾と中田さん
 中田さんは全国茶品評会で1等1席の農林水産大臣賞をはじめ、これまでに何度も賞を受けてきた茶栽培の達人。位田町岡倉で2㌶を栽培していたが、市内で耕作放棄地が増えることに心を痛め、茶園を預かり管理するようになり、「個人では無理」と2003年に農業法人を立ち上げた。5年ぐらいは順調に規模拡大が進んだが、市内の約3割、8㌶を世話するようになると、拡大が止まる。その理由を、「移住してくる若者もいたりして、栽培する人が増えてきたからなんです」と笑顔で話す。

 「自分たちが汗して作ったものを、おいしく味わってほしい」と開店させたのが、綾茶カフェ。自慢の玉露は一人用の急須、湯飲み、湯冷まし、お湯を入れたポット、ポン酢をセットにして出す。1煎目(1杯目)から2煎目、3煎目と変わっていく味を楽しみ、最後は茶葉をポン酢につけて食べる。玉露の魅力を余すことなく堪能して600円(税込、以下同)。
 夏場は綾部産小豆を炊いたあんを添えた抹茶パフェ800円、綾部抹茶ソフトクリーム350円、宇治金時500円も人気。JA京都にのくに女性部が米粉で焼く抹茶シフォンケーキと抹茶のセットは700円。

(営)10:00~17:00
(休)火曜日
TEL 0773-43-0835

海の太陽を思わす
丹後の茶

 丹後半島では、地元でもまだあまり知られていないが、大規模な茶栽培が始まっている。京丹後市の福喜農園は、単体としては府内最大の32㌶でお茶を栽培。新たな名産地になっていることを知ってもらおうと、弥栄町鳥取の道の駅丹後王国「食のみやこ」に和カフェの直営店、「丹後茶寮」を開いている。

 京丹後から宇治に出荷して製茶し、持ち帰った茶葉でいれた煎茶は400円(税込、以下同)。京丹後産コシヒカリを使った玄米茶350円、ほうじ茶300円。和菓子やぜんざいとのセットもある。
 店長の松村昌美さんは「シンプルにお茶の味が分かるのは煎茶です」と、丹後産に胸を張る。「キリっとした味だ」と表現し、「丹後の海に降り注ぐ、きらめく太陽の光を感じさせる」とも言う。

 宇治産を使った抹茶も500円で提供。使う抹茶は店頭の石臼でじっくり時間をかけてひき、1時間に30㌘しか用意できない。繊細な味を求めて通って来る女子高生ら常連も多い。

(営)10:00~17:00L.O.(冬季は16:30L.O.)
(休)水曜日(冬季は火曜日)
TEL 0772-65-8019

山城地域で宇治茶博


 「お茶の京都」は一昨年の「海の京都」、昨年の「森の京都」に続く、もうひとつの京都シリーズの第3弾。宇治茶をテーマに、お茶生産の美しい景観維持やお茶産業の振興、お茶文化の発信などを進めている。
 10月21日(土)、22日(日)には宇治市中宇治地域ほかで「宇治茶博@文化」が開かれる。新たな「お茶する生活」をさまざまな切り口で提案する文化プログラムイベント。アートや文化、スイーツなどと茶文化との融合を通じて、宇治茶の奥深い魅力へいざなう。

 宇治茶の煎茶、玉露を宇治茶文化や歴史を聞きながら飲む宇治茶BARを設け、100人のプレミアム・ティー・アンバサダーがもてなす「1万人の大茶会」。山城地域12市町がコンセプト茶室を設ける「一坪茶室」。両丹、丹後のお茶PRブースも並ぶ「お茶まつりパビリオン」などが計画されている。

 引き続き11月10日(金)、11日(土)には「宇治茶博@産業・国際交流」が城陽市の文化パルク城陽で開かれる。
 新たなビジネスへのきっかけづくりを図り、ビジネスの裾野拡大、輸出に向けた取り組みにつなげる「宇治茶エキスポ(京都茶産業展)」。輸出事例紹介や世界の喫茶体験・講演の「茶産業カンファレンス」。海外の茶文化や喫茶体験により国際交流を図る「国際喫茶エキスポ(茶産業国際ビジネス交流会)」。府民ステージや宇治茶試飲といった府民交流スペースなどが企画されている。

【両丹日日新聞社制作】