三方五湖と若狭鯖街道熊川塾を訪ねる

福井県若狭町
三方五湖と若狭鯖街道熊川塾を訪ねる



 日本のほぼ中央に位置する福井県三方上中郡若狭町。舞鶴若狭自動車道を使うと福知山から約1時間20分で行ける若狭の小さな町には、三方五湖、熊川宿など世界レベルのみどころや、ここならではの絶品グルメがあった。

レインボーラインで三方五湖へ向かう

 若狭湾国定公園を代表する景勝地の一つ、若狭町と美浜町にまたがる三方五湖へは、舞鶴若狭自動車道・若狭三方インターからレインボーライン(三方五湖有料道路)を経由して向かう。この道は、美浜町笹田から若狭町海山まで全長11.2㎞の有料道路で、福井県が1968年5月に9億円以上の巨費を投じて完成させた。その途中にある山頂公園を、美浜町側の日向料金所から目指した。
 標高400mの梅丈岳の山頂にあるこの公園は、三方五湖を一度に見ることが出来る絶景ポイント。三方湖、水月湖、菅湖(すがこ)、久々子湖(くくしこ)、日向湖(ひるがこ)の5つの湖は、塩分濃度と水深の違いで湖面の色が異なって見えることから、「五色の湖」とも呼ばれている。四季折々の美しさは万葉の時代から、「若狭なる 三方の海の 浜清み いゆきかへらひ 見れど 飽かぬかも」と歌に詠まれるほどだ。
 学術的にも貴重で、2005年11月8日に国際的に重要な湿地としてラムサール条約に登録。また、水月湖の湖底には約7万年分の年縞(木の年輪のような縞模様の土)が堆積していて、13年9月に放射性炭素年代測定法に採用され、「世界のものさし」となった。
 山頂公園では360度のパノラマビューが楽しめる東西2つの展望台、美浜町出身の演歌歌手、五木ひろしさんの「ふるさと」が流れる「五木の園」、かわらけ投げで知られる天狗堂、「恋人の聖地」の碑、全国でも珍しい両方からお参りする和合神社、バラ園などがあり、訪ねた日は平日にもかかわらず、多くの観光客でにぎわっていた。



クリックで拡大表示(1)三方五湖の総面積は約11キロ平方メートル。手前がそのうち最も大きい水月湖、その奥右が三方湖、左が菅湖、さらに左に、写真には写っていないが、日向湖、久々子湖、そして日本海へとつながる
(2)五湖のうち最も内陸部に位置する三方湖。唯一の淡水湖で、ウナギ、コイ、フナ、モロコなどが取れる
(3)レインボーラインの途中にある山頂公園。駐車場からはケーブル・リフトを利用する
(4)「ふるさと」が流れる五木の園
(5)恋人の聖地に設けられた誓いの鍵
(6)社を挟んで向かい合って拝む和合神社
(7)ケーブルの車内にあるハートのつり革
(8)梅の里会館(若狭町成出17-4-1、8:30~17:30、TEL0120-11-7668)
(9)店内には福井梅の加工品などがたくさん並ぶ


レインボーライン (山頂公園)
所:若狭町気山18-2-2
営:8:30~16:30※季節により変動あり。土・日・祝日は時間延長あり
料:入園料・大人800円、小中学生600円(ケーブル・リフト含む)※通行料・普通車1040円別途必要
問:TEL0770-45-2678


湖畔をドライブ、特産の口細青うなぎを食べる



うなぎ淡水のうなぎ重箱4428円(税込)

 山頂公園を後にして、海山料金所から県道、国道162号をたどる。三方湖にそって走る道沿いにも見どころが多い。三方五湖の湖畔一帯は、天保年間から150年の歴史を誇る「福井梅」の産地。主に梅干し用の「紅映」と梅酒用の「剣先」と2種類の梅が栽培されているが、種が小さく、厚くて軟らかい果肉がおいしいと評判だ。JA敦賀三方の梅の里会館では、福井梅を漬け上げた梅干しをはじめ、梅酒、梅ワイン、梅ドリンク、梅菓子など、お土産にもぴったりの加工品を販売している。
 三方五湖に来たなら、お昼はうなぎと決めていた。若狭町内には4軒のうなぎ専門店がある。そのうち道の駅「三方五湖」のすぐそばにある川魚専門店、吉田淡水魚の味処「うなぎ淡水」を選んだ。


お昼時には行列もできる「うなぎ淡水」

 「うなぎ淡水」は唯一漁師さんが経営する店である。代表の吉田良三さん(77歳)は、27歳でUターンし、漁師だった父の後を継いだ。その後、水揚げが減る中で、それを補うため44歳で料理をして出すようになった。
 「三方湖で取れるうなぎは固有の特色を持つうなぎで、『口細青うなぎ』と呼ばれています。水質(完全淡水湖とされているが、ごく微量の塩分が含まれている)と手長えびやゴカイをえさにしているため、頭部がスマートで、脂ののりが良くてもしつこくないのが特徴です」と吉田さんは言う。


口細青うなぎ。300~400gサイズのものを使う

 店では、注文を受けてからうなぎをさばき、串を打ち、備長炭で関西風にじっくりと焼き上げる。そのため、出てくるまでに30分はかかる。こうして焼き上げたうなぎは、皮はパリッとしていて中はジューシー、自慢のたれは香ばしくうなぎの味わいを引き立てる。
 吉田さんは「焼き場も秘伝のたれも独自に工夫を加え、とにかく自慢のうなぎをおいしく食べてもらいたい、その一心でやってきました」と話す。


うなぎ淡水のすぐそばにある道の駅「三方五湖」(若狭町鳥浜122-31-1、9:00~18:00、第1火曜休※祝日の場合は翌日休、TEL0770-45-0113)。若狭三方五湖観光協会の事務局があり、観光情報やお土産物がそろう

うなぎ淡水(吉田淡水魚)
所:若狭町鳥浜127-10/営:11:00~14:00(閉店)/休:水曜日(臨時休業あり)/問:TEL0770-45-1158


旅の終わりは、熊川宿で古の世に思いを馳せる



昔ながらの町並みを残す熊川宿。町中を歩いていると古の時代にタイムスリップしたような気持ちになる

 三方五湖を後にして、町の南部に位置する熊川宿を目指した。車で約40分の距離だ。
 古代、若狭は、朝廷に食料を献上する御食国(みけつくに)の一つだった。日本海で取れた魚や貝が京都まで運ばれ、いつの頃からか「京は遠ても十八里」と言われるようになった。特に18世紀後半からは、たくさんの鯖が運ばれ「鯖街道」と呼ばれるようになった。
 熊川は、いくつもの鯖街道の中でも盛んに利用されていた道が通り、交通と軍事において重要な場所であったことから、若狭領主・浅野長政が1589年(天正17)に諸役を免除して宿場町とした。以来、40戸ほどの寒村が200戸を超えるような町になったという。
 熊川宿には、往時を偲ぶ町並みが今もなお残されている。その特徴は、街道に面して多様な形式の建物が立ち並び、それらが混在しながらも、連続性をもった町並みを形成しているところ。その景観が評価され国の重要伝統的建造物群保存地区であり、2015年(平成27)には、日本遺産第1号「御食国若狭と鯖街道」に認定された。


伊藤忠商事2代目社長・伊藤竹之助翁の生家、旧逸見勘兵衛家住宅(10:00~16:00、火・水・金曜日休、入館料高校生以上100円、TEL0770-62-0800)

宿場館(若狭鯖街道資料館)は、かつて熊川村役場として建てられた(9:00~17:00、月曜休※祝日の場合は翌日休、入館料高校生以上200円、TEL0770-62-0330)


道の駅「若狭熊川宿」(10:00~18:30、木曜休、TEL0770-62-9111)。特産品販売、レストラン、熊川宿展示館などがある


三方五湖、若狭町の観光について
(一社)若狭三方五湖観光協会
TEL0770-45-0113(道の駅「三方五湖」内)