北近畿で育つ渾身のワインたち

北近畿で育つ渾身のワインた

赤ワインの色は造り手の情熱の色
白ワインの香りは豊かな大地の香り

フランス、イタリア、ドイツ…世界にワインの名産地はいくつかあるが、日本でも良いワインが造られている。そして北近畿でも「先進地に負けないワインを」と情熱を注ぐ人たちがいる。


【写真】黒ブドウの王様と言われる「カベルネ・ソーヴィニヨン」。重く濃いと表現される赤ワインができる。

幻のワイン復活へ
丹波市の酒屋さんらが奮闘

 京都の老舗料理店や愛飲家たちから絶大な人気を集めた亀岡産のワインが、かつてあった。2009年のヴィンテージを最後に生産されなくなった幻のワイン。これを復活させようと、丹波市の酒屋が奮闘。今年、第1号ワインの販売にこぎつけた。

 「日本の、しかも近隣で、こんなワインが作られていたなんて」。丹波市柏原町の酒屋「リカーランドひかみや」のスタッフ・矢持光晴さんは、亀岡産の黒ブドウ「カベルネ・ソーヴィニヨン」で作られた赤ワインを口にしたとたん、衝撃を受けた。職業柄、世界中を回りワインを口にしてきたが、重厚でインパクトのある味は、世界の名立たるワインと遜色なかった。
 
 ところが残念なことに、ブドウの栽培家が体調を崩し、生産できなくなってしまった。「このままでは惜しい。よし、自分たちで作ろう」。2013年、ひかみやスタッフでプロジェクトを立ち上げた。
 
■農作業に大苦戦■
 
 草引き。肥料やり。炎天下でのネット張り。腰をかがめての手摘み作業…慣れない農作業は想像の何倍もの重労働だった。収穫できたのはわずかなブドウだけ。それでも期待を込めて醸造したが、色素が出ずロゼワインとして販売。「零」と名付けたのは、まだ、一歩も進んでいないという悔しい思いからだった。
 
 2年目の14年は、京都学園大学の学生らも加わり5人で農作業。天候にも恵まれ、前年を大きく上回る量を収穫できた。樽で1年熟成。瓶詰めにしてさらに寝かせること1年。今年9月、ついに復活第1号となる14年のヴィンテージをリリースすることができた。 
 
挑戦は続く
 
 熱意に共感した人や、復活を待ち望む人たちなどから注文があり、売り上げは順調。「でも、目指す味には、まだ近づけていない」。いまは休眠期だが、また来年2月から農作業を開始する。

  
【写真】プロジェクトのメンバー。後列左側が栽培家の福岡裕和さん。フランスの専門書を読み込み、独学でブドウ作りの技術を習得した。現在は体調を崩し重労働はできないが、畑で指導する。


亀岡カベルネ・ソーヴィニヨン2014
『 緋 あけ 』
『 京紫 きょうむらさき 』
 
復活後初の赤ワイン。樽の風味と渋みが特徴の「緋 あけ」とすっきり飲みやすい「京紫 きょうむらさき」の2種類ある。どちらも販売本数288本。ミディアムボディ。720ml2700円。リカーランドひかみや(TEL0795-73-0968)、葡萄屋晴治郎(篠山市河原町TEL079-506-4639)で販売中。
 
 

土地の特徴生かしたヌーボー
京都府北部に人気のワイナリー


 「おいしいワインだ」との評価を年々高めているワイナリーが京都府北部にある。土作りから始め、ブドウ栽培から販売まで一貫して手がけ、愛情いっぱいに注いで醸し出す魅惑の一滴。京丹波町の丹波ワインと宮津市の天橋立ワインで、今年も自信のヌーボー(新酒)が造られた。

 
京丹波町
丹波ワイン
 
 食の宝庫といわれる京丹波の豊かな土壌を生かし、6haの農園で39品種のブドウを育てる。棚仕立てで栽培する農家が多いが、ここでは、日光がよく当たり風通しがよいよう垣根仕立てを採用。手間のかかるブドウ作りも少ない人数でこなし、安定した品質を保っている。手摘みで丁寧に収穫した後は、女性醸造家が、和食に合うようバランスを考えた味に仕上げる。地元の野菜や肉を使ったレストランがあり、窓の外のブドウ畑を眺めながら、ワインに合わせたコース料理が楽しめる。
 
 
 
丹波ワインハウス
京丹波町豊田千原83 ☎0771-82-2003
 
 
スパークリング 巨峰2016
(ロゼ・甘口)

 クリスマスやお正月などにぴったり。ピンク色の華やかなスパークリングワイン。巨峰を100%使用し、フレッシュに仕上げた。アルコール度数9%の甘口なので、飲み慣れない人にもおすすめ。デラウェアを使った白もある。(750ml 1620円)


丹波ワインヌーボー
(白・甘口)

 青みのある早摘みと完熟したデラウェアをブレンドし、低温発酵で醸造。フルーティーな香りで、渋みが少ない爽やかな口当たり。スッと入るのど越しが新酒らしく、家庭料理と一緒に気軽に楽しめる。マスカットベリーA使用の赤もある。
(720ml 1080円)


宮津市
天橋立ワイン
 
 目の前には穏やかな内海と天橋立、周囲には自社のブドウ園が広がるワイナリー。「この場所でしか作れない味」を目指し、海岸に自然堆積するカキ殻をまいたミネラルたっぷりの土壌でブドウを栽培する。醸造過程では、加熱処理せず生のまま熟成。果実味豊かでまろやかに仕上げる。ワインを使ったお菓子や塩などユニークな商品も開発。地元食材を使ったバイキングが食べられるレストラン、丹後産コシヒカリを使った米粉パンのベーカリーを併設しており、丹後の豊かな食を堪能できる。
 

 
天橋立ワイン(天橋立ワイナリー)
宮津市国分123 ☎0772-27-2222


 
 
2016年新酒 茜ブラッシュ
(ロゼ・中口)  

 赤ワインに使うブドウ「セイベル13053」の果皮を取り除き、白ワインと同じ製法で造ったロゼワイン。今年は暑い日が多く、糖度が高いブドウが収穫できたため、バランスよく仕上がった。ピーチに似た香りとフレッシュな酸味が特徴。どんな食事にも合わせやすい。キリッと冷やして飲むのがおすすめ。
(500ml 1239円)