グンゼ博物苑リニューアル

綾部で生まれて120年
グンゼ博物苑リニューアル


リニューアルした博物苑

 綾部で生まれたグンゼが、創立120周年を迎えた。1896年、波多野鶴吉が地域貢献を目的に創業した会社。その精神は今も受け継がれ、綾部市青野町、綾部本社の向かいに「あやべグンゼスクエア」を整備。連日多くの市民や観光客が訪れている。


市民が世話をしている、あやべバラ園


施設が充実する
「あやべグンゼスクエア」

 スクエアは2014年春に整備された。製糸やファッションの歴史が分かる「グンゼ博物苑」(1996年開設)、市民が世話をする「綾部バラ園」(2010年開設)に、地元の農産物や菓子、工芸品などを販売し、観光情報を提供する「あやべ特産館」が加わり、海の京都拠点施設として年間を通じて様々なイベントが開かれるようになった。
 ここに今春、120周年記念事業として「道光庵」という施設が増えた。旧社長社宅を移築したもので、茶室や休憩スペースとして市民に利用されている。また、記念事業の仕上げとして、11月4日には博物苑がリニューアルオープンした。


市民の憩いの場として利用されている道光庵


綾部産の茶を味わえるカフェを備えたあやべ特産館

養蚕や製糸の歴史が分かる

 博物苑は蔵の形をした3つの建物があり、向かって左はグンゼの歴史が分かる「創業蔵」。1階には蚕糸業で使っていた道具や設備が展示されている。若い人たちにとっては珍しく、かつて養蚕に携わっていた人や、グンゼで働いていた人たちには懐かしい資料の数々。来場者はみな熱心に眺めている。
 真ん中は「現代蔵」。アパレル、プラスチックや再生医療など各事業のあゆみ、製品を紹介。右のもう1棟、「未来蔵」では公開可能な新商品や技術などを紹介している。博物苑には文化教室などに使える「集蔵」もある。
 スクエア内の施設は、いずれも入場無料。火曜休苑(道光庵は木金土曜のみの開館)。バラ園と特産館は電話0773-43-0811、博物苑と道光庵は?0773-43-1050。


リニューアルした博物苑

創業者は波瀾万丈の人生
波多野鶴吉、はな夫妻を
NHK朝の連ドラに

 創業者の波多野鶴吉は、実に波瀾万丈の人生を送った人だった。そして、どんな逆境の中でも、強く支え続けた妻のはな。夫妻をNHK朝の連続テレビ小説にと、綾部商工会議所や市などが、まちを挙げて運動に取り組んでいる。


 鶴吉は1858年(安政5年)、当時の何鹿郡中筋村で羽室家の次男に生まれた。養子縁組して波多野家へ入り、75年(明治8年)に養家の娘、はなと結婚。京都で書店や製塩業などいろんな事業に手を出し、ことごとく失敗。養家の財産を食いつぶしてしまうという、なかなか破天荒な青年時代を過ごしている。
 81年、23歳で小学校教員として郷里に戻り、ここから更に激動の人生を歩む。養蚕農家の子どもたちの厳しい生活を目の当たりにし、85年の全国品評会で京都府産の繭と生糸が粗悪品と酷評され、これに発奮。「地域を豊かにしたい」と願い、翌年、何鹿郡蚕糸業組合を設立。品質改良に取り組んだ。
 郡のため、地域の人びとのためにと「郡是製糸」を創業したのが96年。製品は1900年のパリの万国博覧会で金牌(きんぱい)を受賞するまでになり、やがて日本を代表する企業になった。


【 善い人が良い糸をつくる 】
 「善(よ)い人が良い糸をつくり、信用される人が信用される糸をつくる」との信念のもと、「表から見れば工場、裏から見れば学校」と言われるほど、鶴吉は従業員教育に力を入れた。工場の敷地内に寄宿舎を設け、仕事を終えた工女たちが修身、読書、算術、裁縫などを熱心に学んだ。
 波多野夫妻は従業員たちと同じ敷地内の長屋に住み、自身も竹ぼうきを持って掃除する姿がよく見られたという。
 この創業者の姿勢は今も受け継がれている。毎年春の入社式と社員研修は登記上の本店・綾部で行い、新入社員たちは、ここで創業の精神と共に、「あいさつをする」「はきものをそろえる」「そうじをする」という三つの躾(しつけ)を教え込まれる。

人を育てることに力を注いだ


【 膨大な資料を整理  歴史資料館開設 】

 これら120年の歴史を証言する膨大な資料を納めた歴史資料館が、スクエアに隣接して今春整備された。大正時代に建てられた、蚕種研究をする蚕事所の本館を改修。貴重な蚕糸道具など約400点をはじめ、過去の会議資料や書籍、アルバム、CM映像など計約1800点の資料を収蔵、整理した。
 日本の産業史や蚕関係の調査・研究者らに公開する。


スクエアの隣に開設された歴史資料館 


【 地元をはじめ全国で署名活動 】

 波多野鶴吉、はな夫妻をNHK朝の連ドラにとの運動は、綾部商工会議所と綾部市役所が事務局となって誘致推進協議会を組織し、署名活動を繰り広げている。地元にとどまらず、縁のある全国の人が協力していて、11月16日現在、署名は4万7730人になった。
 問い合わせは綾部商工会議所、電話0773-42-0701または市観光交流課、電話0773-42-3280。