日本遺産のまち舞鶴で近代化の躍動を体感

日本遺産のまち舞鶴
近代化の躍動を体感

60余りの構成文化財が点在


 横須賀、呉、佐世保とともに「日本の近代化の躍動を体感できるまち」として今年の春、日本遺産に認定された旧軍港都市・舞鶴。市内一円に海軍ゆかりの建築物や景観が残り、時代の背景を知って巡れば、百年前の活気ある日本の姿を思い起こすことが出来る。

静かな漁村だった舞鶴になぜ軍港が・・・

 明治の日本は、西欧諸国と対等に渡りあうため、様々な面で近代化を急いだ。軍港の整備も、その一つ。全国で横須賀(神奈川県)、呉(広島県)、佐世保(長崎県)に軍港が設けられ、最後に開設が決まったのが舞鶴だった。
 日本海側では、ほかに小浜や宮津も候補として挙げられていたが、舞鶴は外からの敵を阻む狭い湾口、船舶がゆったり停泊できる深く入り込んだ湾内、湾を囲む険しい山などが格好の地形だったため、明治22年に軍港として整備していくことが決定した。
 ここから半農半漁の静かな貧しい村が一変、急激な近代化が始まる。
 海軍の根拠地である「鎮守府」の開庁、艦船を修理するための海軍工廠(工場)の建設、艦船に良質な水を供給するための水道整備、軍隊や物資が移動する鉄道整備、港を防衛するため湾口に砲台を設置、急激な人口増加に備え市街地を碁盤目状に整備。どれも巨額の予算と最新鋭の技術をもって進められ、近代都市、舞鶴が生まれた。


まちに溶け込む軍港の遺産


新舞鶴市街図

 レトロな雰囲気で人気の赤れんが倉庫群は、もともと魚雷など兵器を保管しておく場所だったという。碁盤目状の通りには「三笠」「朝日」など艦船の名前が付けられている。
 山の上には、往時そのままの形で砲台跡が残る。多くの物資と人を運んだ鉄道は、廃線になったものの線路跡が遊歩道として利用されている。れんが作りのトンネルもある。こうしてまちの中には、軍港ゆかりのものが60カ所以上残っている。ゆっくり歩けば「西洋に追いつけ追い越せ」と、国を挙げて近代化へひた走った時代の、人びとの思いと息吹を感じることが出来るだろう。

10月22日~30日は旧軍港市日本遺産WEEK

 10月22日から30日まで、4市が協力して旧軍港市日本遺産WEEKを同時開催する。舞鶴市では、普段非公開の構成文化財を特別公開するほか、旧軍港近代化遺産展としてショッピングセンターらぽーる(南浜町)でパネル展示を行う。22日・23日は、舞鶴赤れんがパークを会場に「赤れんがフェスタ」がありアート&クラフトフェアやJAZZコンサートのほか様々なイベントが用意されている。明治から始まった食材などを生かした文明開化のグルメブースも! 10時から17時(23日は16時)まで。

 


旧舞鶴鎮守府軍需部倉庫

 外壁や扉、壁の張り紙などから当時の雰囲気が伝わってくる。石とれんがを敷いた物品運送通路の跡も残る。大正期には、電機庫や水雷庫として利用された。
【舞鶴市北吸】

 

 

舞鶴赤れんがパーク

 水雷などの軍需品を保管した5棟の倉庫が並ぶ。明治時代の最先端技術を駆使した重厚な造りで、旧軍港の象徴的存在。海の青、芝生の緑、れんがの赤のコントラストが美しく、人気の観光スポット。【舞鶴市北吸】

 

 

北吸トンネル

 くぐれば100年前にタイムスリップしてしまいそう!? かつては兵隊らの移動や物資の運搬に活躍する鉄道が通っていたが、今は遊歩道になっていて、東舞鶴駅への近道として、多くの市民が利用している。【舞鶴市北吸】

 

旧北吸浄水場配水池

 艦船用に大量の飲料水を確保するために建設された。外観は、ロマネスク風のれんがアーチが特徴。屋内の水壁を利用して展示会が開かれることも。【舞鶴市北吸】

 

ホフマン窯(非公開)

 施設建設に必要なれんがを大量に生産していた、煙突が12本もある大きな窯。長年風雪にさらされ、崩れかけている箇所もあるが現存は貴重。【舞鶴市神崎】

 

 

葦谷砲台跡

 湾口の東側に配備された砲台跡。外敵から見つからずに攻撃できるよう山の中に建てられている。うっそうとした森の中に、当時の姿のままひっそりとたたずむ姿はとても幻想的。映画のロケ地にも使われた。若狭湾が一望できる景色も美しい。【舞鶴市瀬崎】

 

旧海軍第三火薬廠

 「火薬廠」とは、爆薬や火薬を製造していた兵器工場のこと。甲子園球場の157倍にも及ぶ615万㎡の広大な敷地に、いまにも朽ち果てようとする建物が残っている。【舞鶴市朝来】

 

海軍割烹術参考書

 舞鶴海兵団が調理隊員を育成するための教科書として編著した料理の基礎本。100を超える洋食やお菓子の作り方が記載されている。

 


海軍グルメ

 「肉じゃが(甘煮)」は、舞鶴鎮守府に赴任した東郷平八郎が、英国で食べたビーフシチューの味を忘れられず、日本の食材で再現したことが始まりといわれる。ほかに、海軍カレーや海軍ロールケーキなどがある。当時のレシピに基づいて作ったメニューを、赤れんがパーク内にあるカフェで食べることができる。